明確な資料はないらしい

わたしたちの国では『三才図会』・『愚子見記』に初見するまで、白土に関して頻出しても、石灰に糊料を混用したという明確な資料は見当りませんでした。


にもかかわらず奈良時代以来そのような使用法の存在を推定してきた理由は、一つには白土以上に糊料を必要とする外壁リフォーム技術的根拠にもよるが、いま一つ『天工開物』の右の記載があったからで、わが国でも同書刊行とほぼ同時期までは、やはり同じ事情にあったとするのが自然でしょう。


そうすれば、この間におけるわが国の左官工事発展の経緯から考えて、糊料の米から海藻への転換の時期は、17世紀初頭の城郭建設ブーム期に求めるのが最も妥当でしょう。


なぜならば、いかに領主の権威をもってしても、広大な全城郭をことごとく米を糊料とする白璽で塗り込めるのは相当な経済的負担であろうし、まして17世紀中葉までに、京都の中心街とはいえ、町家のほとんどを白墓上塗とするためには、どうしても米に代る安価な糊料の使用を想定せざるを得ないからです。

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